812人が本棚に入れています
本棚に追加
/152ページ
「ふむ、そんなことがあったのか」
「けど俺はそんな気はないよ。今の状況はチャンスだと思うけど桃香を騙して結婚するなんてしない」
「それはいい心掛けだ。私と付き合うことになって別れたりなんてしたら君は消される。だから軽率な行動をしないというのは自身の保身にも繋がる」
朝食をとっているときに俺と龍明さんになにかを感じ取ったらしく車内でそのことについて聞かれた。
俺としては悟られないように紅香さんと話していたのだが……。
とりあえず桃香の洞察力は鋭いということと紅香さんに貞操を狙われているということを確認できただけでよかったと言える。
「うん。それと今日は生徒会に出るよ。後もうひとつ……改めてごめん、細かいことをぐちぐちと引きずっていたのは格好悪いよね」
「私も助力できたのなら光栄だ。しかし驚いた…父は仕事でもそうだが他人に興味がないし冷酷な人だ。それこそ身内や友人にはとことん甘いが…だからそんな父が拓真に助言をした、喜ばしい」
「冷酷って……そんな風には見えないよ。万人受けする容姿だし愛想もとてもいい。誠実そうにみえるし」
思いがけない強い言葉に思わず反応した。
違うか…なぜ娘である彼女が父を冷酷なんていうのか興味がわいた。
だからキッカケのような話を探る学校に着くまでの暇潰し。
ようやく心が少し晴れたせいか、頭が良く働いてくれる。
「外見で内面はわからないだろ。実際、父は何百人も死に追い込んでいる」
「……………」
どういう意味だ…実は海外で人体実験をしているとかか。
発展途上にある国なら平気で人身売買が行われているしそういう事をするには最適といえるな。
それともカニバリズムに目覚めているとかそんなオチか…確か、なにかの書物で読んだけど人間の一番の快楽は人殺しらしいしカニバリズムも結果的にそのカテゴリに収まるから金持ちの道楽として考えられなくはない。
もし俺の考えがどれかでも当たっていたら今日中に桃香を制圧して橘の家に入ろう。
何故なら死にたくないからだ。
最初のコメントを投稿しよう!