第一話・好転なのか、なんなんだ?

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「いや待てなんで俺が謝ってんだ?」 さあ、と適当に返事を返して歩き出す。 こんなのが一年近くだから飽きそうなところだがそうでもない。 和泉はノリが良い、それに馬鹿だ、よく学校に入れたと思うぐらいに。 そんな奴だからこそ俺には丁度よかったりする。 「おい見てみろよ、あれ」 そう言って校門前を指差した。 その先には生徒会長である橘桃香と複数の女子の姿があった。 凛とした雰囲気にスタイルの良い体つき、顔だって可愛いと言えないが、本当に綺麗だ、橘桃香だけ一際は輝いていた。 「綺麗だけど性格堅いし胸無いしそれにあれじゃあなあ…」 こんなゴミに批評された事実を本人に伝えるか激しく迷いながらもそれに関しては頷く。 背が高すぎる多分だが190に近い、俺でさえ170後半だから約10は違う。 「なあ、お前って自分は便所みたいな感じなのに他人には辛いよな」 「そりゃあ女は良い方がいいに決まってる。橘桃香は綺麗だ、お嬢様だ、おまけに頭も運動も完璧だ。しかし男子から人気はない。だって自分より背が高いし胸がないなんて……まあ女子からは人気みたいだけど……って便所みたいな感じってなんじゃいっ!」 「………なんだ詳しく聞きたいのか?」 「ごめんなさい、錦織さん」 女子からインキン呼ばわりされているのは黙っておいてあげよう。 泣かれても気持ち悪いしな。 それからもくだらない話題に花を咲かせ教室までの道のりを楽しむ事にした。 ちなみに俺はわりと真面目でお堅い系の女の人は好きだったりする。 にしても遠い、二年の校舎だけ違うから校門から少し歩くからだ。だがその分学食は空いてるし購買のパンを買えない、なんてイベントは起きない。
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