第四話・いよいよ生徒会?

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緊張か、それに近い感情が俺を支配している。 あんまり人前で話すとかそういう経験が無いからね。 「拓真、私は見ているぞ」 ヤジが入るが、それは鼓舞というより冷やかしだ。 ここにいる全員が俺に敵対意識を示している。 やっぱり付き合ってるんだとか騙された会長が可哀想だとか。 どう言えばいいんだろう、まずは誤解を払拭しないと話にならない。 「えっと、まず俺とそこにいる会長さんは付き合ってるとかではありません」 「一緒に住んでいるんだけどな」 そうか、敵は桃香だったのか。 ざわざわと辺りが喚き始めた。 さすがに一緒に住んでいることは伏せるべきだろ。 桃香の表情は俺に対してとても挑戦的だが同時に頑張れ、とも言っているように見える。 「と、とにかく付き合ってません。そしてここに今まで来なくてすいません。改めて生徒会書記として誠心誠意頑張ります、よろしくお願いしますっ!!」 考えていた内容なんて飛んでしまい、結局自分の言葉で話してしまった。 俺は演説とかに向いてないな。 汗の出方がやばいんだ。 こんな緊張するなんて普通にテレビとかで司会してる奴とか凄いと思えた。 それでもなんとか話は通ったみたいでなぁなぁながら拍手をしてくれた。 「よし、では作業を始めよう。これで人数は揃った。各員効率良く無駄の無いように動いてくれ」 桃香の号令が入ると一瞬にしてうるさいぐらいのざわざわ感が消えて集中した様子が辺りに広がる。 「ああいう風に意見が言える。それはとても大事な事だ。君にはそれが足らない。どうだ、自信がついたか?」 「さぁな。それより俺はなにをしたらいいんだ?」 「敬語を使え、ここでは私は上司だ」 「すいません、なにをしたらいいんでしょうか?」 ここには上級生も居るのだから確かにそうだ。 それはいいとしても生徒会書記ってなにやるんだ。 基本は暇そうな気がして楽勝に考えていたけどこの様子ではそうはいかない。 なにやってるかはわからないけど数字の並んだ紙とにらめっこしてたりパソコンで作業してる奴とかとにかく暇をしてる奴がいないのが真実だ。
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