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慣れというのは怖い。
学校が終わり、一年間面識すらなかった生徒会長と車で豪邸に帰る。
言葉にするとこんなにも短いのに……俺ももう少しおどおどしてもいいはずだ。
生活環境がガラリと変わったのだからな。
「さっきから私を無視して考え事をしているようだが……本当にそのままでいいのか?」
「いや俺って結構適正能力高いなって……桃香が接しやすいからかな。なんか大してギクシャクしないし……まあ俺が根なし草だからかも知れないけど…」
「ネガティブな……仕方ない、私がポジティブにする。ちょっと来い」
「ちょ、ちょ、待て、待ってください、折れてるから痛いよ、ごめんなさい」
容赦無くギブスしてる方の腕を掴まれ、家に着いたばかりだというのにすごい早さで部屋に連行された。
話を聴いてなかったのがそんなにムカついたのだろうか。
喜怒哀楽がこうまでわかりやすいとハッキリしてて好きだけど。
「よし、では拓真をポジティブにして私との老後までのプランを語り合えるような状態に持っていこう計画を実施したいと思う」
「なんか二人っきりでこんなことしてんの恥ずかしいんだけど……」
「私は平気だ。いやそれより…さ、さすがに生徒会で同棲の事実を言ったのはやりすぎてしまったかな?わ、私としては話が広まれば外側から固められると思ったんだけど…は、恥ずかしすぎる」
こういう人なんだよな、この人…別にもう気にしてないけど照れるところはかわいい。
はっ、まさかここまでが彼女の策略なのか。
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