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「さて、シャワーも浴び終えたからさっきの問いに答えよう」
数学と英語……特に英語ほど大事な教科は無い。
英語が出来てパソコンも出来たら正直就職はかなり有利だと思う。
「力こそが全て……私はその考えは嫌いだ。何故なら暴力より先に言葉があるからだ。だがここは私の家だ、自由が許される」
「はぁ、わかったよ、聞きますよ」
「よろしい。では拓真、私ならそれは拳で答えるぞ」
言葉があるからだ、とかほざいて結局は先に手を出す。
言ってることがめちゃくちゃだ。
したり顔をしてるけど全然響いてこない。
「……慣れてないからそれは難しい」
「そんなことはないだろ。私を助けて早々にルートに入ったじゃないか」
るーと?まあとにかく俺は喧嘩には慣れてない。
いや正確には人を殴れない。
大変なことになっても自分じゃ責任取れないのはわかってるし親もいないわけで最悪施設に迷惑がかかる。
なにも自分だけが施設にいるわけじゃない。
もし俺のせいで施設のなかが厳しくなったり誓約みたいのができたら後味が悪いしな。
桃香は俺の真意がわかったのか、言葉を続けた。
「あれだ、そんな言っていいことと悪いこともわからない奴と話したって仕方ない、と私は言いたいわけだ。だからそこで泣く必要もないしそんな戯れ言は聞き流せばいい」
「………そんな上手くいかないよ。桃香からしたら多分そんな風に思えるんだろうけどさ。俺からしたらやっぱりその辺に触れられちゃうとなにも言い返せないから」
「なよなよしてて君は女みたいだ。好感度がかなり落ちた。今日はここで寝ろ」
指を差したのは床だ。
いやそれが当たり前だ、同衾すんのが元々おかしいんだよ。
「情けで大きいムカデとか色々いるから後で業者を呼んでおこう」
「床下っ!?待って、俺マジ虫系は無理だからっ!!」
尋常ではない慌て方を見せると桃香は苦笑して俺の隣に座り勉強を始めた。
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