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「結局私と一緒に寝たいんだな、君は」
「寝にくいけどね。つうか選べなかっただけだよ」
正直まだ慣れない。
鼻孔を甘い香りが支配する。
こんなにも近い距離で女性と寝るなんて桃香が初めてだ。
「明日は早いから私はもう寝る。そ、その寝ている時に変なことしたら怒るからな」
「しません、そんな度胸があったらもう襲ってます。って早、もう寝た」
切り替えが素晴らしいな。
俺はどうにも寝る前は色々考えてしまうから寝付きが悪い。
これからどうなるか、明日はどうなるだろうとか常に先のことを思考してしまう。
だって不意に桃香に嫌われて追い出されて終わるかもしれない。
そしたらまたバイトと勉強だけの日々か。
ただ初恋ってやつもまだ味わったこともない。
願わくはそれが桃香に生まれたらいいなって思う。
「…………んぅ…」
格好いいし可愛いし勉強できるし人に好かれるし案外シビアだけど優しい。
ちょっと暴力的だけど理不尽ながら理由はちゃんとあってのだからな。
両親だって楽しい人達だ。
けどそう考えるとますます俺が惨めになる。
ここに俺が居たら釣り合わないだろ、と。
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