812人が本棚に入れています
本棚に追加
/151ページ
「こ、これはどういうことなの?」
「だからさっきから説明しているじゃないか。君は今日から橘拓真になると」
桃香は呆れたようにテーブルに置いてある保険証を俺に見せてくる。
そこには橘拓真、と書かれていて住所はここだ、多分。
「私は早退して君を橘家に迎え入れる為に養子の手続きをして終わらせたからここにこれがある」
「紅香さんと龍明さんは納得してないでしょ?」
「息子になるのは大歓迎だといっていた。むしろ積極的に協力してくれたから今日中に終わったんだ」
確かに二人の協力がなければ無理な話だ。大体半日で終わるとかどんな荒業を使ったんだ。
とにかく今、目の前ににいる桃香はもはや義姉になるわけか、確か俺の方が産まれたのが少し遅いはず。
それで紅香さんがお母さんで龍明さんはお父さん。
「ウジウジしていたからこうして私が君の夢を叶えたわけだ。惚れたか?」
「うん、惚れた。はは、家族が出来てしまった」
こんなにもあっさりと俺の夢が叶ってしまった。
これからどうしようか。
「ほ、本当かっ!?と、というかそんな風に笑うんだな、君は」
「惚れた、というか愛している。よくわかんないけど家族ってそうなんじゃないの?」
「だ、だがこうして家族になったということは私は君の義理の姉になるわけだ。つまり拓真になんでも命令できる権利があるというその辺は大丈夫なのか?」
「うん、桃香姉さんに付き従うよ。なんでも言って」
桃香は何故か動揺していた、こんなのは拓真ではないとか、そんなような単語を口にしている。
これが幸せか、なるほど。
最初のコメントを投稿しよう!