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「ん?」
屋上のドアに手をかけるところで止めた、声が聞こえたからだ。
それも声からして揉めているというか、怒鳴っている。
行くか、屋上はみんなのものだ。
開けて入るとやはり居た、だが俺の思っていた人物とはかけ離れていた。
女子の声だったから女子しかいない的な感じかと思いきや+αも存在していた。
生徒会長と言い寄る四人の男女だ。
関係無くその場をスルーしてベンチに寝転ぶ。
けど卑怯だ、仮にも生徒会長は女だ、それを男子も引き連れて話をする時点でおかしい。
「だから予算の配分がおかしいでしょ?囲碁将棋部だけあがらないしむしろ減ったし」
「年の予算はそんなに多くない、必然的に昨年活躍した部活に多くしたりしなくてはならない。だから今年は減った部も多い。すまない」
「謝罪が欲しいんじゃないわよ、なんとかしなさいよ、学校に話をするとか」
実にうるさい、女の怒鳴り声ほど耳障りなのはない。
だが今にも掴みかからん勢いで怒鳴っている、きっとそうなれば男が出てくる、ましてや生徒会長は一人。
仕方ない、理不尽な物言いだしきっとお堅い系で通る生徒会長が悪いとは思えない。
「大体あんた会長なのに…………なに?」
割ってはいってみた、言っておくが正義感とかはない。
同じ展開があればスルーするかもしれない。
「そろそろ予鈴なりますよ。それに話なら生徒会長だけじゃなくて生徒会に足を運んで話せばいいと思うけどな。不正しろって疑われても文句いえないだろ、今の状況見られたら」
正論、これ以上にないぐらいの正論。
俺は生徒会長の背中を押しながらその場を華麗に後にする。
決まった、完全に。
会長はなんだか顔が赤いがそれはきっと暑さのせいだろう、それより近くだと良い香りがする。
「テメエ、格好つけてんじゃねえよ、この野郎」
くそ、匂いに気を取られていた、頬の痛みが襲ってくる。
だがここでやり返したらまずい、俺的にも相手的にも。
「いてえじゃねえかよ、ふざけんなっ!」
はい、やり返しました。
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