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家を飛び出したスコットは、一直線にスーパーを目指した。あの閉ざされた窓から、近所のスーパーの看板がチラリと見えたからだ。
スコットはあれがスタンド能力によるものだと考えていた。
スタンド。それは精神の才能。人が持つ精神のパワーを実体化させたもの。
そしてスタンド能力には射程距離がある。スタンドとは直接的なパワーがなければないほど射程が広い。が、全世界規模の射程を持つようなスタンドは非常に少ない。どんなに広くとも、せいぜい市内がいいとこだ。それは長年、超常現象部門で働いていたスコットの経験則だった。
スーパーにたどり着いた。近くには民家が沢山あるが、スコットはすぐに少女の居場所を特定した。
まず、少女の声が外に届かない、常に騒音がしている場所を探した。郊外ならば、見つかりづらい人のいない場所に隠すのだろうが、スーパーやショッピングモールが近いこのあたりでは人通りのない場所など無い。ならば逆に相当うるさい場所に隠すはずだと考えた。
その後スコットは通行人、特に噂の好きそうな高校生を捕まえて、このあたりで一番古くて怪しい廃屋を聞いた。そういう廃屋には幽霊の噂があってもおかしくない。少女の声が聞こえてもおかしくない。
そしてたどり着いたのは一軒のみすぼらしい廃屋だった。窓には木が打ち付けてある。近くには高速道路。常にクラクションが鳴り響いていた。さらに、このあたりでは珍しく人通りも少なかった。監禁には持って来いだ。
スコットは廃屋の周りをグルグルと回った。鏡の少女の部屋の家具の影は、スコットに向かってまっすぐ伸びていた。家を出てから1時間ほどしかたっていなかったので、自らの影をコンパスに部屋にアタリをつけているのだ。
「(女の子は東の角部屋か。)」
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