3人が本棚に入れています
本棚に追加
中には、あの鏡の少女がいた。この部屋だけはずいぶん明るかった。窓の封鎖が完璧ではなかったからだ、隙間から光が差し込んでいる。少女はスコットの顔を見ると勢い良く飛びついてきた。スコットはそれを受け止めると、跪いて少女と同じ目線まで顔を下げ、口の前に人先し指を立てた。
すると背後で気配がした。ドアが勢い良く閉まる。閉じ込められた。つけられていたようだ。
「ぬかったな、これは。」
「おじちゃん。キミーを助けに来てくれたの?」
「キミー?…ああ、君の名前かい?」
「うん!」
「俺は自分を名前で呼ぶ女は信用しないんだ。君も今のうちにその癖は直したほうがいいよ。信用されなくなるぜ。」
「うん、わかった!」
「よし、じゃあとっとと脱出するか。」
スコットは窓に近づく。
「そっちはだめっ!」
少女が叫ぶと同時に、スコットは窓を塞いでいた板を蹴破っていた。
部屋の中に光が差し込んだ。こんなにも青い部屋だったのかと驚かされた。その時、ベッドの下から素早く何かが這い出してきた。
「私と一緒に捕まった子はそいつに殺されたわ!そいつは窓を開けた人間を襲うの!」
女の子が殺された?先に言ってくれ。知っていたら来なかった、などと思いつつ目を凝らす。ベッドの端からは確かに、血のようなものが流れ出していた。
最初のコメントを投稿しよう!