出逢い

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「あの…、何で倒れてたんですか?」 ベンチの端で何と無く身を小さくしながら聞いてみた。 彼は、あーとか言いながら空を見上げて、少し考える様に唸って、それから答えてくれた。 「貧血気味でさ、たまに倒れたりするんだ…。今日みたいに日差しの強い日は特に。」 吸血鬼見たいだろ、なんて笑って見せてくれたけど、なんだかそれがヤケに笑えない事の様な気がした。 この歳にもなって、吸血鬼を信じてる訳じゃない。でも、嘘事だとも言い切れない自分が居る。 一端その考えに捕われたら、ヤケに彼が恐ろしく見えた。 人はいつだってそう。自分とは違うモノを受け入れられないから。 「あ、あのっ!私、此れから用事があるので帰りますっ!!そのハンカチは差し上げますから!さようならっ!!」 とにかくその場から、彼から離れたかった。だから、言うだけ言って走り出したのに、なんでこんな時に限って慣れない靴を履いていたんだろう。 慣れないヒールで、しかも公園は舗装されてなくて、見事にコケた。 ――しかも、自分を恨みたくなるくらい酷く間抜けなコケかたで。
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