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相澤は従える部下たちに合図を送り数歩後ろに下がらせる。
部下たちより前に前進した相澤は、風真まで声が届くぐらいの位置へ移動し、風真の姿を正面に捉えるようにして口を開く。
「全く手間を取らしてくれますねぇ風真 神雷くん」
相澤の発したその声に反応するように風真はボリボリと黒髪を掻きながら面倒くさそうに声のする方に振りかえった。
「やれやれ…… 」
風真は振りかえると同時に吊り上がった目を大きく見開くと、相澤の方をじっと見据えるように睨んだ。
「全く、まるで飢えた狼のような目付きですねぇ……困ったものです」
相澤は息を大きく吸い込み深いため息をつくとさらに言葉を続けた。
「その刀で随分ウチの者たちを傷つけてくれたようですねぇ…… 」
「フン!俺は只、降りかかる火の粉を払っただけさ」
風真が吐き捨てるように言った。
「……その火の粉とやらを払い落とすためにうちの警官達を何人も切ったわけですか……相変わらずですねぇ風真くん」
「……てめぇは随分かわっちまったようだがな」
風真は静かに言葉をもらす。
しかし風真の相澤を見据える鋭い目付きはかわらなかった。
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