八章

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「…………。」 空は俯いて唇を噛み締める。 「空は長州藩が…長州藩の奴らが好きなんだろ?」 藤堂の言葉に俯いたまま小さく頷く。 「…だったらそんなに辛そうなのはおかしい。」 藤堂はぴしゃりと言い放つ。 言い方はきついけど、空を心配している優しさが滲む。 私…どうしたいんだろ…。 確かに私は稔麿、晋作、小五郎…長州藩皆が好き。 大好き。この気持ちは変わらない。 だけど…。だけど……。 空が心の中で迷っていた時。 「…空ちゃん。」 沖田が空に呼び掛ける。 私は次の言葉に固まってしまった。 予想もしていない言葉が待っていたから。 「…新撰組に戻っておいでよ。」
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