1. 校長先生のひと言

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☆☆☆ 教室に戻った私達は、担任の先生から詳しい事を聞いた。 「え~、全寮制の事ですが、ルームメイトはクラスの中でクジ引きして決めます。ルームメイトとは3年までずっと同じクラスで、何をする時にもいっしょに行動しま~す。なお、交換は認めません。ここまでで質問ある人~」 「は~い」 「はい、なんですか?」 クラスの男子1人が手を上げる。 「何をする時もいっしょにって、登 校も下校も遊びに行くのも全部です か?」 「はい。あ、あと、近くのスーパーなどで食料を買い、3人でご飯を 作って下さいね~」 ま、マジっすか… 私、料理… 「できないよね、紫蘭って料理(ニ ヤリ)」 「うっ」 隣でそー言うのは、有馬疾風(ありまはやて)。 「疾風……」 「だって小2の時、米炊くのに爆発させたでしょ?俺、いまだに疑問な んだけど。中1の時も…」 「あーもーうるさいうるさい!!言われなくても分かってるよ!何回言 うつもり?そのネタ!」 「ずっと」 私と疾風は幼なじみ。家が隣で、物 心ついた頃から仲がいい。学校も ずっといっしょに登下校している。 幼稚でバカなほど元気なだけが取り 柄な疾風だけど… 「あたし疾風くんと同じ部屋がいい なぁ~♪」 「あたしも~☆」 「はぁ…(またか…)」 なぜかモテる(-。-; 確かに疾風は整った顔をしている。子どもの頃からずっとモテる。小学校の頃は全部で527回、女子全校生徒が疾風に告った。 中学は…何回だっけ? それを疾風に聞こうとした時、 「私は棗斗くんがいいなぁ~」 「あ~!棗斗くんでもいい♪」 …「棗斗」というのは、五十嵐棗斗(いがらしなつと)。クールで誰かと 話してるところはあまり見ない。 こっちも整った顔をしていて、かな りモテる。 そう。 うちのクラスには、ダブルでモテる 人がいる。 影では「ダブル王子」と呼ばれ、 ファンクラブまであるらしい。 「はいはい!クジ引きしますよ~」 先生の声がかかって静かになる。 「恨みっこなしですよ~?」
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