信繁の刻

4/7
197人が本棚に入れています
本棚に追加
/260ページ
雨が強く。黒い空では雷が獣の声をあげている。 二人は歴史小説の話で盛り上がっている。 「沙耶こないだ貸した歴史小説読んだか?」 「まだ読んでるよ。何処かの歴史オタク見たくすいすい読み終わりませんよ。」 「は!?まだ読んでねーのか?何処まで読んだ?」 「う~んと…確か黒田官兵衛が荒木村重の城に幽閉される所かな??」 「お前!?」 信繁は立ち止まり固まってしまった。 「え!?どうしたのしげちゃん?」 すると信繁は沙耶の頭を撫で始めた。 「偉いじゃねーか。嫌がってる割りにはもう直ぐ上巻読み終わるじゃん。終わったら下巻も貸してあげるからな。」 沙耶は顔が赤くなってしまい上目遣いで 「フンッ!私だってあれくらいなら読めるんだから!!早く次貸しなさいよ。」 「そうだな!流石沙耶さんだな。じゃあちゃっちゃと読んでくれよな。これで俺も歴史好きの友達が増えてうれしーよ。」 「ふーん。そうなんだ。じゃあ下巻も貸しなさいよ。読んであげるからさ。」 「沙耶さん随分上目線ですね?人に頼むときはどうするんだっけ??」 (くっそーっ!!しげちゃんのくせに生意気な!!) 「貸してちょーだい。」 「ウックククっっ。あ…ハッハッハ。おもしれー…貸してちょーだいだって沙耶超面白い。言われなくても貸すっての」 後ろで沙耶が黙って威圧するオーラを出している。
/260ページ

最初のコメントを投稿しよう!