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「姫菜ちゃんは可愛いんだけど、なんつーか、ちょっと違うんだよなー。」
ヤツが言ったそのセリフの意味が分からなくて、
あたしはぽかんと口を開けるしかなかった。
「なんてゆーの?外角低め?ドストライクゾーンじゃないってゆーかさー。」
何を言っているのだ。
散々可愛いだ綺麗だと言って、向こうからデートに誘っておきながら。
まるで彼がどこか知らない国の言葉を話しているようで、彼の言っていることがあたしの頭では理解できなかった。
その日のあたしは完璧だったのだ。
前日にエステに行った甲斐あって、お肌はつるつるのピカピカ。
頭のてっぺんから爪先まで抜かりはなかったし、その体をついさっきまで堪能しまくったのは、他でもないお前じゃないか。
「姫菜ちゃん、最高だったよ。」
コトを終えたあと、ヤツはあたしの耳元で囁いた。
当たり前じゃない。
あたしを誰だと思ってるの。
誰もが振り返るミスS大の金井姫菜様よ。
おまけに、あたしは床上手。
上に乗らせたら誰も適う女なんていないわ。
…比べたことないけど。
「あたしも最高でした。こんなの初めて。」
嘘だけどね、と心の中でベロを出しながらあたしはヤツにしなだれかかった。
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