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英明と誠は、プレートに八島と貼られた家のチャイムを押した。A駅から、約五分の場所に、その家はあった。
はい、と言いながら、女性がドアを開けた。多分、八島孝作の母親だろう。
「警察の者です、孝作君に訊きたいことがありまして」
英明は言った。
女性は俯きながら、中へどうぞ、と言った。
家の中に通されると、リビングにつれられた。
「そこに座って、お待ちください」
そう言い、女性は姿を消した。
女性に言われた通り、英明達はソファに腰掛けた。
数分後、八島孝作を連れて、リビングに戻った。
「お待たせしました」
女性は頭を下げると、八島孝作の背中を押しながら、英明達とは向かい合うようにソファに座った。
英明は八島の目の下が腫れているのに気がついた。目も赤い。
先ほどまでも、泣いていたのだろう。
「孝作君、君に訊きたいことがあるんだ」
英明は口を開いた。
はい、と返事をした八島の声は弱々しい。
「まず、君は純平君とコンビニで別れた後、どうしたかな?」
「すぐに家に帰りました」
「コンビニでは、純平君は何か変わったことをしてなかったかい?」
八島は少し考えると、別に、と返事をした。
「君達は、何時の電車に乗ったんだい?」
え、と八島は驚いた顔を見せた。
「あの、それが何か関係が?」
そう言ったのは、隣に座る女性だった。
「ただの確認です。それで、どうだったかな?」
「4時8分の電車に乗りました」
「それは確かかな?」
八島は力なく、はい、と返事をした。
英明は手帳に書き続けた。
「……純平君は、クラスメイトと喧嘩などをしてたりしたかい?」
「いえ、あいつは誰にでも優しかったから……」
大橋純平のことを思い出したのか、八島は涙ぐみだした。
「ありがとうございました。協力感謝します」
英明はそう言い、立ち上がった。
「あの、犯人はわかったんですか?」
手がかりでも見つかったとか、と女性は訊いた。
「すいません、こちらの情報を流せないんです」
英明は頭を下げた。
そうですか、と女性は肩を落とした。
「安心してください、犯人はすぐに見つかると思いますよ」
誠は言った。
「そうなると、助かります」
女性は頭を下げた。
英明達は八島家を後にした。
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