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16時半頃。
駅前という人が集まりやすい立地にある一軒のコンビニに、3人の制服を着た男子が談笑しながら入ってきた。
「また来たよ……」
このコンビニの店員である、南健二は呟いた。
無論、レジでそんなことは言わない。裏の休憩室。そこにある監視カメラから様子を眺めていた。職務怠慢と言われれば、そうなるが、この時間を過ぎた帰宅ラッシュの時間になると、どうしても骨身が砕かれる気分になる。店長の菊池原充三もシフトに入るが、2つのレジで客が回りきることはなく、足は止まらない。そのためにも、彼の中でこの時間は正当化されていた。
それに、コンビニ内をうろつく3人は買い物目当てで来たわけではないことは、健二が一番理解していた。
彼ら、その中でも一人、一番背の低い少年。名前は確か、大橋純平。
彼が週始めの月曜日の今日に毎週発売される週間雑誌を読みに来ているのだ。
他の二人は付き添いで、途中でたまらず帰るのが、いつものパターンだった。
健二の予想通り、他の二人は純平に声をかけた仕草をした後、手を振り、コンビニを後にしていった。
ファァ、と健二はため息をついた。
目をこすりながら、退屈そうに映像に目を運んでいた。
純平がようやく雑誌を雑誌コーナーの所に戻した。
「たまにはなんか買えよな」
健二は愚痴をこぼす。
純平は二歩三歩、自動ドアに足を進めた。
しかし、自動ドアに達する手前、足を止めた。
「なんだ!?」
まだ何かあんのかよ、と健二は続けた。
しかし、純平が次に取った行動は、自分の首を即座に掴むものだった。
健二は目を見開き、その光景に食い入った。
純平は千鳥足で今にも倒れそうな状態で、店内をうろついた。手は首を掴んだままだ。
純平は崩れた。うつぶせに床に倒れ込んだ。
「た、大変だ」
健二は急いで店内に行くと、純平の体を持ち上げた。
頬を数度叩く。
「おい、返事をしろっ!!」
純平が返事をすることはなかった。
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