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現場
既に何台ものクロとシロの車。すなわちパトカーがコンビニの周りを囲んでいた。
坂本英明は、大きな体で黄色のテープをくぐり抜け、店内に入った。
「おっ、本庁の刑事が来たな!!」
太田誠は、英明に向かって言った。
二人は高校からの同級生であった。
「うるせぇな。で、死体は?」
英明は言った。
「もう搬送された。今頃、司法解剖されてんだろ」
「……で、当時の状況は?」
英明は店内を見回した。
人が死んだコンビニとなれば、どうにも近寄り難くなるだろう。それも、駅前のコンビニだけあり、それはすぐに噂になり広まり、あっと言う間に店じまい。
「……ああ、被害者は大橋純平、17歳。彼は今日、16時32分からこのコンビニに友達二人と入店し、一人週刊雑誌を熟読、23分後、読み終わった雑誌をコーナーの所に戻し、コンビニを出ようとした際、急に苦しみだし、息絶えた」
「やけに正確だな」
「あぁ、あの監視カメラに全部映ってたよ、見るか?」
誠は雑誌コーナーが一望できるであろう場所にある監視カメラを指差した。
「……そうさせてもらおうかな」
英明は誠に連れられ、裏の休憩室に入った。
薄暗く、とても清潔感があるとは言い難かった。
「……ここからだ」
誠はテレビのリモコンを操作し、早送り状態で映像を見せた。
そして、被害者が倒れた瞬間、映像を止めた。
「……16時55分」
「だろ?」
誠に返事をせず、英明は店内に戻った。
雑誌コーナーの前で足を止めた。
「被害者は毒殺の線が高いぞ」
誠が後ろから言った。
「……その被害者が読んだ雑誌は?」
英明は雑誌コーナーを見下ろしながら言った。
「もう鑑識に回した」
「……第一発見者は?」
「あそこだ」
誠は店外で警察の制服を着た男二人に囲まれている男を指差した。
「彼の名前は、南健二、25歳。フリーターだそうだ」
ふうん、と英明は言うと、駆け足で健二に近寄った。
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