現場

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「すいません、おわかりだと思いますが、私はこういうものです」 英明は、自分の警察手帳を見せた。 役職には刑事となっていた。 はあ、と健二は戸惑った表情で警察手帳を見た。 「あなたが、最初に被害者の死体を発見したんですよね」 「はい。休憩室で監視カメラの映像を見てました。そしたら、急にあの子が苦しみだして……急いで、119番に電話したんですけど、間に合わなくて」 「苦しみだす前に、彼に変わったところはなかったですか?」 「変わったところ……ですか」 健二は宙を仰ぐ。 「はい。先ほど映像は見ましたが、彼はこのコンビニの常連だったんでしょ? なら、あなたはチラホラ見てるはずですから、私より気付くことがあるかもしれない」 「……と、言ってもな。別に変なところはなかったと思いますよ」 「……そうですか」 英明は俯いた。 すると、踵を返した。 「どうもありがとうございました」 英明は笑顔で頭を下げた。 「あ……いえ」 健二もつられて仏頂面で頭を下げた。 多分、すでに何度も訊かれたことばかりだったのだろう。 事情聴取に嫌気がさしているに違いない。 「……何かわかったか?」 英明は首を振った。 「何も」
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