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美智子は二度目の純平の死に顔だった。先ほどより、多少落ち着いて事実を受け入れられた気がした。
巧は口を半開きにさせ、虚ろな目で純平を見ていた。
純平、と言って、巧は跪いた。すすり泣きが漏れた。
気を利かせたのか、坂本の姿はドアの向こうに消えていった。
意外に冷静にも、美智子は巧を見下せた。
いつもは仕事一辺倒で、純平のことなど気にもとめなかったくせに、など、悪口が頭に浮かび続けた。当然、口には出さない。
それから少しして、ノック音がし、ドアが開かれた。
「よろしいでしょうか」
坂本が顔を見せた。
「少しお話を伺わせていただきたいのですが」と続けた。
「……いいよな、美智子」
巧は言った。
「ええ、それで犯人を見つける手がかりになるなら」
坂本はありがとうございます、と頭を下げた。
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