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空が暗くなり、東から白いお月様がゆっくり歩いてきました。
白いお月様は、しくしくと泣いている小さな女の子を見付けました。
「お嬢さん、どうしたの?」
白いお月様は女の子に話しかけました。
小さな女の子は白いお月様を見上げます。
「どうしてみんな『無』なの?どうしてここは何もないの?」
女の子は言いました。
白いお月様は、ふむと小さく頷きました。
「それでお嬢さんはどうして泣くんだい?」
「みんなみんな泣いているから」
小さな女の子の言葉に、白いお月様は首を傾げました。
「誰も泣いていないよ?とても静かだ」
白いお月様の言葉に、小さな女の子は首を横に振りました。
「心のなかでみんな泣いてるの。みんなみんな泣いてる。お月様も泣いてるわ」
白いお月様は驚いて目を見開きました。
「どうしてみんな泣いてるの?心のなかは真っ白なのに」
「それはね、お嬢さん?孤独というものだと思うよ」
白いお月様は言いました。
「孤独というのはかなしいものね」
小さな女の子は言いました。
白いお月様は苦笑を浮かべたまま、西の花畑に散歩に行きました。
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