始まり、そして永遠に…

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 その日は、前日のバイト疲れもあってあまり調子の良くない日だった  バイト終わりが朝の5時、家に帰って、風呂に入り、少し寝て昼から自動車学校に行き、また夕方の18時からバイト  俺が働いていた居酒屋では"ヘルプ"と言う制度があり、系列店への出勤を命じられる事がある  その日がそうだった  店長に言われた通り、何度か行ったことのある少し遠い店に出向き、いつも通り働いていた  暫くするとその店の店長に卓締めを命じらた  道具の場所を知らなかったので、ありそうな場所を探していると女子更衣室の中にあった  最初は入ってはマズい、と思ったのだがあまりにも殺風景で倉庫のような内装に物心惹かれ、中に踏み入った  見渡すと男子更衣室に比べて広く、その片隅には従業員のものであろう荷物が床に落ちてしまっていた  いつもの癖で拾い集め、側の棚に戻し、そこで見つけた締め道具を使って良いか店長に聞きに行こうとしたら既に女性従業員が締めを始めてしまっており、あえなくみみっちい努力は水の泡  その後はホールにて通常の仕事  途中、何を思ったか、お客様が 「頼んでいないよ」 と言った飲み物をあろうことか客が居もしない方向へ持って行ってしまった  その時はそこの店の従業員を見た瞬間に 「しまった、こっちには客は居ないじゃないか」 と引き返し、空いたグラスを置く場所に置いた  暫くして、その飲み物がまだ残ったままなのを見て、つい衝動に駆られてそれを陰で飲んでしまった  当然、先刻にすれ違った従業員と店長に問い詰められた  その時俺は 「飲んでいません」 としらをきった  残ったのは微かなオレンジの味と胸を締め付ける罪悪感だった  終電の時間が迫り、その日のその店での俺の役目は終了  店長に言われるがまま男子更衣室に戻り、着替えようとするとまた誰かの荷物が落ちてた  それは財布だったから、少し躊躇ったが戻した方が良いと判断した俺はすぐ近くの鞄に突っ込み、着替えを済ませ更衣室を出た  店を去ろうとした時、先刻の女性従業員に呼び止められ、今度は完全に身に覚えのない事を問い詰められた  結果、信じてもらえぬまま俺は店を後にした…
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