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その後は自店でバイトだったのでそのまま自店に戻った
そしたら、店長にいきなり不思議そうな顔でこう聞かれた
「お前、あっちの店で五千円盗ったか?」
店長の話では、従業員の男女、一人ずつの財布からお金が消えていたらしい
五千円ずつ
当然心当たりの無い俺はすぐに否定した
その従業員から電話で直接話を聞けば、5千円返すなら小さく事は納めるし警察にも親にも言わない
しかし否定すれば警察にハッキリさせてもらうとの事
まだ若い俺は、すぐに混乱してしまった
その場で俺は罪を自ら認め、何故か返すと約束してしまったのだ
これで、俺は犯罪者だ
ただ、親に迷惑をかけたくない一心だった
今思えば、あまりにも軽率だった
しかし、両方共に財布に触ってしまっていて、警察が混じれば確実に負けると思った
更衣室内には監視カメラは無い
完璧だと思った
その後は流れるようだった
店長と一緒に謝りに行き、自腹で一万払い、退職願いを書かされた
そう、正にたった一言で俺はバイト先の人々から信頼を失い、前科者へと成り下がった
今にしてみれば、何故疑われるような行動をしたのか
何故俺は容易く人の物に触れたのか
何故簡単にありもしない罪を認めたのか
何故最初言われた時点で俺の退店直後という不自然なタイミングの良さに気付かなかったのか
山ほどの後悔が心の中で渦巻き、胸を締める
しかし、今となってはもう遅い
今更誰が俺の潔白を信じようか…
そう、俺は前科一犯
俗に言う犯罪者だ
あまりにも重く、あまりにも理不尽な十字架を永遠に背負い続けてなければいけないのだ…
[the never end]
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