道場破り

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階段を駆け降りると、急いで洗顔と歯みがきをし、リビングに座る。 「お父さんおはよう!」 「親父おはよう!」 キッチンではお父さんが朝ごはんを作っている。 「もみじちゃんもさくやくんも、おはようございます。先に、里枝子(母親)さんに挨拶しましょうね?」 ニッコリと微笑むお父さん。霧島和彦(きりしまかずひこ)。お母さんの再婚相手だった人。 お母さんはこの世には居ない。二年前、交通事故で天国へ行ってしまった。 お父さんとの再婚が決まって、ウキウキとしていた矢先の事だった。 お父さんは、お母さんのお葬式の後、形式上は他人だけど、お父さんになってくれた。 婚姻届は引き出しの中に入ってて、お母さんの仏壇にはエンゲージリング。お父さんは、左の薬指に。 朝は必ず、お母さんに手を合わせて、挨拶をする。 「お母さん、おはよう。今日は、衣更えなんだよ!久しぶりの半袖だから、入るか心配だったよ~」
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