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――ヶ月後
キルはとりあえず一人で歩く程度には支障がない程に回復し、レッドハート軍に帰って来ることが出来た。
余りの回復力の良さに医者は目を皿にしていた。
確かにレッドハート軍の者達からも血を分けて貰い、全身の傷は手術で塞ぎ、腹部の傷は臓器を随分傷つけていたが、治療により異変も起きず回復を見せた。
だが、キルは二回心臓が止まった。
にも関わらずほとんどの記憶が残っていた。
ただ……腹部を剣で貫かれてからは記憶が曖昧で、修羅となってからの記憶は一切なかった。
そのためキルは……アランという兄の存在を知らない。
彼の遺体をレッドハート軍の者で捜索したが、彼の剣だけが見つかり、彼の遺体は骨さえ見つからなかった。
キルは落ちた筋肉を戻すため、とりあえず歩き回っていた。
その時
「キル伍長」
名前を呼ばれ、キルは振り返る。
「げっクロム大佐……」
「人の顔を見て『げっ』とは何だ
失礼な」
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