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リクラムの髪をかすめた蹴りは速くて鋭かった。
シュリンは蹴り足を着地させると、今度はそれを軸足にした後ろ回し蹴りに移行する。回転の乗った踵が再びリクラムを襲う。
リクラムは反射的に肉体強化をしそうになった。が、それを意識的に抑える。それにより一瞬反応が遅くなった。
それでも間一髪で頭を上げる。シュリンの蹴りが空を切る。
しかし顔を上げたリクラムが見たのは、すでに次の攻撃の動作に入るシュリンの姿だった。
シュリンが左拳を突き出した。無駄なく最短距離を進む突きは一直線にリクラムの顎先に差し込まれる。
リクラムはその拳を右手で受け止める。乾いた音が訓練室に響いた。
（重くはないけど鋭いな……。間隙も少ない）
内心はすごく焦りながらも、頭の隅では冷静にシュリンの動きを分析する。
今度は右拳が迫ってきた。先ほどよりは余裕がある。左拳を掴んだままそれをかわし、右手首を掴む。これで両手をふさいだことになる。
しかし、シュリンは怯むことなくリクラムの脇腹に向かって蹴りを放つ。
リクラムはたまらず後退した。
シュリンはそれを追う。
「攻撃してこないなら私が勝っちゃうよ？」
シュリンはいかにも楽しそうだ。
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