プロローグ

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――二組の赤い眼が対峙する。 少年の眼は夕焼けに染まったかのように美しい色だった。 澄んでいて、けれどどこか寂しさを感じさせる目だ。 対して、獣の眼は黒く濁った精気の感じられない色をしている。 赤色の絵具に黒色を垂らして混ぜたような、べっとりと無感情な目だった。 ――二つの視線が交錯する。 途端に少年の目に恐怖の色が浮かんだ。 それでも視線は外さない。 何かに魅せられたかのように、じぃと獣の無感情な目を見つめる。 獣も少年から目を離そうとしない。 無感情な視線が、何かを訴えるかのように少年に注がれる。 無音の時は続く。
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