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水の針が撃ち込まれるかと思った瞬間、水のドームが弾けた。真ん中を縦に真っ二つに両断され、認知を失った水が辺りに散らばった。
「「え?」」
消え去ったドームから現れたものを見たリクラムとシュリンの声が重なった。
そこからは現れたのは白銀の猫、ではなく一人の少女だった。
民族衣装を纏い、美しい白銀の髪を後ろで緩くまとめている。整った顔立ちに表情はなく、赤い瞳が落ち着いた光を見せる。白く細い手に握られた黒刀が希薄な存在感を強調していた。
シィーラの刃、フィーナだ。
「いまのは危なかったです」
鈴の鳴るような声が、大気を細く震わせた。フィーナはその言葉とは裏腹に落ち着き払っている。
「仞獣が人に化けた……」
「化けた、ですか。間違ってはいませんがこの姿が本来のものです。それと私は仞獣ではありません」
驚きを隠せないリクラムにフィーナは律儀に返答する。そして、
「それでは第二幕といきましょう」
突然、手に握った刀を閃かせた。完全に油断していたリクラムだったが、長年鍛え続けてきた戦闘の勘は反射的に体を動かした。
上体を後ろへ反らすと横薙ぎの一閃が眼前を通過した。更に折り返してくる斬撃を再び捌く。
「ま、待った! 君はいったい……」
何とか話をしようとするリクラムだがフィーナは容赦なく刀を振るい続ける。
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