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リクラムはその言葉にどきりとした。砕刃師としての誇りなんてものを自分は持ち合わせていない。
――ならどうして戦う?
自問自答。意志の再確認。
シュリンがこちらを見た。腑抜けた心を見透かされた気がした。
「リクラム。まだ戦える?」
シュリンは淡々と言った。
――最初は姉さんの助けになりたかった。
「……戦えるよ」
「本当に? 相手は仞獣じゃないんだよ?」
――そして、シュリンを守りたいと思った。
「今度は、大丈夫だ!」
守りたかったら強くなるしかない。体はもちろん、心も。
「そっか。なら一緒に戦おう」
しっかりと立ち上がったリクラムを見て、シュリンは表情を緩めた。同時に、ポーチから一本のダガーナイフを取り出し、鞘を抜く。そしてフィーナに向かって投擲した。
直線的に向かってくるナイフをフィーナは刀で弾こうと構えた。しかし、フィーナに届く直前でナイフが増殖した。一本、二本、そして三本と増えたナイフにフィーナはやむなく回避する。
「……またこの技ですか」
フィーナがぼそりと言った。
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