2-2.シィーラの刃

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 * 「というわけで、よろしくお願いしますね。主様(ぬしさま)」  恭しく片膝立ちして頭を垂れるフィーナを前に、リクラムはどう反応したら良いのか分からなかった。 「いや……そんなこと言われてもさ……」  いきなり貴方は滅んだはずの一族ですと言われても、素直に受け入れることはできなかった。赤い瞳に始まり、魔法を使えない体質や、常人以上の身体能力など思い当たる節は確かにあるが……。 「まあ、手っ取り早く信じてもらうために、一度私を使ってもらいましょうか」  フィーナが片膝立ちのまま、顔を上げて言った。自分と同じ赤い瞳と視線が交わって一瞬どきりとする。しかし嫌な感じはしなかった。 「使うってどういうこと?」 「私は貴方の刃ですから」  フィーナは淡々と話す。 「この姿、オリジナルとしての私は刀ですが。私は特殊なので他の武器にもなることができます。……まあ、それは追々話すことにしましょう」  フィーナが手のひらを上にして、左手をリクラムに差し出した。 「主様、お手をお借りできますか?」  リクラムはおずおずと手を差し出す。不思議と疑いの気持ちは欠片も湧いてこなかった。  しかし、差し出した手をメノウが掴んだ。 「ちょっと待って。……本当に大丈夫なの?」  リクラムとシュリンに刃を向けたことで、メノウはフィーナに不信感を抱いているようだった。フィーナ曰く、大きな怪我はさせないよう注意を払っていたらしいが、それについてはリクラムも疑問に思う。特に最後はメノウたちが来てくれなかったらどうするつもりだったのだろうか?
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