2-2.シィーラの刃

28/30
前へ
/313ページ
次へ
「姉さん、ほんとに大丈夫だからさ。ね、フィーナ?」 「はい。絶対に安全です。……ただ、慣れるまでは体に負担がかかると思うので、そこは我慢してくださいね?」  同意を求めるとフィーナは真顔で答えた。  ここでそれをいうか、と思いつつリクラムは苦笑した。何を笑われたのか分からないフィーナは小首をかしげる。  メノウは更に心配そうに表情を歪めたが、やがて意を決したように口を開いた。 「危なそうだったらすぐ止めるからね。……フィーナちゃん、貴女を信じるわよ?」 「任せてください。そもそも主様の身を守るのも私の役目ですから」  当然のように言うフィーナの言葉を聞き、メノウがしぶしぶとリクラムの手を放す。  なおも不安そうなメノウを優しく一瞥し、リクラムはフィーナに右手を差し出した。フィーナはその手を両手で包み込む。優しく触れられた手は、滑らかで温かな普通の女の子の手だった。 「では、いきます」  フィーナが目を閉じ、小さく息を吐いた。と思うと、フィーナの体に変化が現れた。体の輪郭が黒い靄でぶれていき、ついには拡散する。黒い煙状と化したフィーナはリクラムの手の中に収束していき、その姿を形成する。  リクラムは手の中にずしりとした重さを感じ、気付くと一振りの刀を握っていた。乱れ刃の美しい、黒い刀だ。初めて手にしたにも関わらず、妙に手に吸い付く。先ほどフィーナが振るっていた刀と同じものに見える。
/313ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3340人が本棚に入れています
本棚に追加