2-3.新たな力

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「シィーラ族には、一人に対して一振りの獣が仕えるんです。その獣たち、“シィーラの刃”と呼ばれていたのですが、“刃”は獣と武器の姿をそれぞれ一つずつ持っています。私の場合はこの姿と黒刀ですね。ただ、私のように人の姿を持つ“刃”は、他の“刃”の記憶を持っていて、更に代々シィーラの族長に仕えてきました」  わかりましたか、とでも言うような視線をフィーナが向けてくる。 「なるほどねぇ……」  にわかには信じがたい話であったが、シュリンもその力を目の当たりにしているため、納得するしかない。  一際大きく響いた金属音に、視線をリクラムたちに戻すと、アウルがリクラムの手から黒刀を弾いた所だった。 「あの刀は使っても大丈夫なんだよね」  ものすごい風切音で回転して飛んでいき、訓練室の壁に突き刺さった黒刀を眺めながらフィーナに尋ねる。 「あれは形を模造しただけですから普通の刀と変わりませんよ」  リクラムが今使っている黒刀はフィーナが形成したものだ。もはや何でもありだな、と半ば呆れてしまう。  得物を無くしたリクラムは素手でアウルに挑んでいるが、勝負がつくのは時間の問題だろう。  フィーナを使うのであれば、いなすような戦い方にこだわらず、存分に力を振るう必要がある。その訓練をしているらしいのだが、どうなのだろうとシュリンは思ってしまう。愚直なまでにアウルに突進していくリクラムは、明らかに様になっていなかった。
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