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「私を使いこなせるようになった主様なら、五輝だろうと六輝だろうと、ひとひねりにできるでしょうね」
フィーナの発言にシュリンは驚きを隠せなかった。五輝と言えば先刻にリクラムと二人でやっとの思いで倒した相手だ。しかも最後にはマナとアウルの助けを借りている。
「仞獣五輝が“ある程度”の相手……?」
「単純に倒すのならば、です」
含みのあるフィーナの言葉にシュリンは首を傾げた。
「これからは仞獣の刃の部分を破壊してもらいます。……もちろん危険の及ばない範囲で、ですが」
「どうして? わざわざ頑丈なところを狙わなくても」
「刃を破壊しない限り彼らは蘇るからです」
「蘇る!?」
淡々と告げられた事実にシュリンは更に驚いた。
「仞獣は生殖活動を一切しません。にも関わらず長年に渡って姿を消さないのはそのためです。刃を破壊することで完全に仞獣を消滅させることができます。本来なら貴方たち砕刃師の間で伝承されているべきなのですが……。実行できる者がほとんどいなかったために忘れ去られてきたのでしょう」
「砕刃師……」
刃を砕く者たち。砕刃師がいつから存在しているのかは定かではないが、初期の砕刃師たちは仞獣を完全に消滅させようと戦っていたのだろうか?
そう考えてシュリンは身震いした。ただ倒すだけでも精一杯なのに的が絞られるなど冗談じゃない。しかも生半可な攻撃では仞獣の刃を破壊することはできない。シュリンですら最高位の魔法を使って成し遂げられるかどうかというところだ。
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