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本土空襲
サイパン島攻略後、
米軍はB-29爆撃機のほかにP-47「サンダーボルト」戦闘機などを配備して,サイパン島の防備を固めた。
そして、
1945年3月下旬には硫黄島を攻略し,
そこにB-29爆撃機を護衛するP-51「ムスタング」戦闘機を配備した。
P-51戦闘機は頻繁に、空襲で低空飛行の銃撃を行った。
逃げ惑う人々を追い掛け機銃で次から次へと撃ち殺していくのだ。
抜ける様な青空、不意に空襲警報が鳴り響く。
闇市に米を求めに来ていた人々は途端に我先にと辺の物陰に雨散霧消した。
その中で一人、臨月の腹を抱え路上に取り残された女が居る。
初音だった。
初音は必死でその重い腹を抱え逃げ込める物陰を探す。
しかし適当な場所には既に人が犇めいていて、初音が身を隠せそうな場所は何処にも見当たらない。
一旦通り過ぎたムスタング戦闘機が旋回して再び初音の背後に迫る、
硫黄島が陥落してからというもの米軍機の航続距離は飛躍的に伸びた。
機銃の照準は明らかに初音の背中を捕らえている。
ズダダダダダ！
炸裂音と共に無数の弾丸が数センチ単位で空気を切り裂き初音の鈍い足取りを追う。
「危ない！」
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