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「む゙ゔ〰っ」
悔しさに歯軋りする俺を、伊織の冷たい一言が更に奈落に突き落とす。
「馬鹿が! 間抜けにも程がある」
あ゙あ゙〰、言い返せない!!
事実だけに、返す言葉が見当たらない……
「いっちゃん……」
あまりの屈辱にぷるぷる震えている俺を、半べそかいた尊が頭を撫でて宥める。
透かさず聞こえたシャッター音に、俺達の体は固まった。
「はい、ラッキー♪ また儲けられる」
南の奴……南の奴……また写メりやがったあー!!
「「だめー!!」」
南に似合った真っ黒な携帯を奪おうと伸ばした俺達の腕は、横から突き出て来たたか兄並みにデカイ手によって束ね捕られてしまった。
手の持ち主は四天王の一人、一年にしてバスケ部レギュラーの座を勝ち取っている『爽やか天然王』こと 佐伯 斗真(サエキ トウマ)だった。
198もあるばかデカイ体に、バスケットボールを片手で鷲掴みする様な奴に、俺達が抵抗出来る筈もなく、右手に俺、左手に尊を荷物の様に抱え、
「うわぁ、軽っ!」
なぞと失礼極まりない事をほざきながら、俺達を小田切先生が座る席まで運びやがった!!
あ゙あ゙っ、何かが失われて行く……
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