1077人が本棚に入れています
本棚に追加
/3000ページ
部活で賑わう校庭の隅を、俺と尊はこそこそと実習棟目指して歩いて行く。
こそこそしているつもりなのに……見られている……
部活に励みながら、ちらちら俺達を見る生徒が数名……
入学して1ヶ月半、こんなに視線を感じた事はない。
俺と尊は目立たない様に、伊織と和美の余波を受けない様に、本当にひっそりやってきていたのに……今日の事で全てが無駄になってしまったらしい……
悪目立ちしてしまった。
厄日、だ!
「いっちゃん……」
溜め息付いた俺に、尊が衝撃的な真実を告げてきた!!
「今注目されているのは、手を繋いで歩いているからだと思うよ?」
えっ、そうなの?
じゃあ、手を離せば良いだけ?
なあーんだぁ~、尊、早く教えてよ!?
手を離した俺に、尊は苦笑を見せた。
そして、思い出した様にポケットからなにやら取り出して、はい、と俺に寄越した。
渡されたのは、可愛い紙袋。
入っていたのは、
「マスク?」
ファンシーな熊の絵が付いた、マスクだった。
「中谷達との交渉は俺がやるから、いっちゃんはそれを付けて黙ってるんだよ?」
回答権のないクイズの参加者かい!?
最初のコメントを投稿しよう!