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ヤモリに迄無視された俺は、薄汚れた窓に歩み寄り、汚れを画用紙代わりにして、指で窓に落書きを始めた。
此処から、校庭がよく見える。
落書きの向こうで、運動してる。
で、背後では、尊がまだ頑張って話してる。
「2人の以心伝心って、一体どんなものなんだ? 結構細かく通じ合っているみたいだが……」
「簡単に言ったら、アイコンタクトの最上級判、かな?」
尊は説明を始めた。
「俺といっちゃんって、一応これでも考えてから喋るタイプなんだけど、考えてる時間が長過ぎて、喋る時には話題が変わってたりして……」
そして、ボケ、扱いされる。
「だからと言って、考えないで喋るとろくな事にならないし……」
朝のたんこぶ事件を思い出したのか、尊の声はちょっと小さい。
「どちらか1人なら良いんだけど、2人揃ってだと倍の時間が必要で……」
そうなると、トロイ、と言われてしまう。
「喋るの、面倒になっちゃってね?」
「「はっ?」」
中谷と鹿野、声を合わせて疑問符だ。
「で、2人の時だけでも喋るの省いたら楽かなって考えて、編み出したのが、以心伝心、なんだ」
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