四匹目 レッサーパンダは 立つ!?

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「つまりは、美原の精神的に大切なものを奪ってしまおう――と言うところ」 黒笑浮かべて、中谷は楽し気に言った。 「伊織の大切なものと俺達、関係無い気がするけど……?」 うん、うん、関係無い。 あれ? でも…… 伊織の大切なものって……何だろう? わかんない。 訊いた事無いし。 幼馴染みなんて言ったって、ただ一緒に育っただけで、伊織と真正面から接した事無いや。 伊織の事よりも、尊の事の方を知っている。 伊織よりも、尊と居る時間のが長いし、以心伝心出来る程に解りあえている。 伊織って、何が大切なんだろう? 顔は良いし頭も良い、運動神経だって良いしイケメン友達も居て、家だってうちと違って金持ちの部類だし……性格に難はあるけど誤魔化せてるみたいだし…… 何でも持ってる伊織って、持ち過ぎて、何でもかんでも大切になるんじゃないかなあ? ゔ~ん、わからん。 俺と尊が首を傾げたまま考え込んでいると、中谷と鹿野は呆れた様に溜め息をついた。 「自覚無し――か」 鹿野の呟きは、やっぱり意味不明……
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