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「つまりは、美原の精神的に大切なものを奪ってしまおう――と言うところ」
黒笑浮かべて、中谷は楽し気に言った。
「伊織の大切なものと俺達、関係無い気がするけど……?」
うん、うん、関係無い。
あれ?
でも……
伊織の大切なものって……何だろう?
わかんない。
訊いた事無いし。
幼馴染みなんて言ったって、ただ一緒に育っただけで、伊織と真正面から接した事無いや。
伊織の事よりも、尊の事の方を知っている。
伊織よりも、尊と居る時間のが長いし、以心伝心出来る程に解りあえている。
伊織って、何が大切なんだろう?
顔は良いし頭も良い、運動神経だって良いしイケメン友達も居て、家だってうちと違って金持ちの部類だし……性格に難はあるけど誤魔化せてるみたいだし……
何でも持ってる伊織って、持ち過ぎて、何でもかんでも大切になるんじゃないかなあ?
ゔ~ん、わからん。
俺と尊が首を傾げたまま考え込んでいると、中谷と鹿野は呆れた様に溜め息をついた。
「自覚無し――か」
鹿野の呟きは、やっぱり意味不明……
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