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「本当に……格好良かった?」
おずおずと問う尊は、俺の返答をかなり期待した感じだった。
――ので、俺は徹底的に尊を誉め上げる事にした。
「すっごく格好良かった! たけちゃんがやってるゲームのヒーローみたいだった! きりり、っとして、はきはききびきびして、格好良かったよ!」
尊は真っ赤になって、ニコニコ笑顔だ。
「誉められるって、なんか、気持ち良いね?」
心底、尊は嬉しそうだ。
俺……ちょっと反省した。
俺達って、誉め言葉とは縁の無いタイプだ。
だけど、いつも一緒にいる尊を誉める事は、俺にはいつでも出来た筈だ。
一緒に居すぎて、俺、尊をぞんざいにしてたんじゃ無いだろうか?
尊の凄さを一番知っているのは、俺の筈なのに……
近過ぎて、忘れてた。
当たり前になり過ぎて、いい加減になっていた。
尊と言う存在を大切にする事を、尊と言う存在が大事だと言う事を、すっかり失念してしまっていた。
「たけちゃん、俺、たけちゃんがとっても大切だよ?」
尊は目を丸くして俺を見つめ――にっこりと笑った。
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