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母さんは、伊織のお母さんに頭が上がらない。
父さんが死んだ後、俺と和美を育ててくれたのみならず、家事までやってくれたんだ、当然だ。
でも、それだけじゃないらしい。
あの 『魔界の女帝』 と呼ばれる母さんが、とっても可愛らしく善き妻・善き母の見本みたいな伊織のお母さんには、一切逆らわない。
反論の一つも、口にしない。
2人の間には、何かがある――!
……何でもいいや、もう……
「俺、たけちゃんのお母さんか伊織のお母さんがお母さんだったら良かったなぁ~」
「でもいっちゃん、家の母さん、韓流スターにはまって、俺の事どころか家の事さえほったらかしだよ?」
「でも、たけちゃんのお母さんは嘘つかないよ?」
うん、まあ……と尊は言葉を濁す。
そんな時、再び尊の携帯が鳴った。
慌て、尊は携帯に出る。
たか兄かららしく、尊は直ぐ行くと答えて切った。
尊は南を見る。
「取り敢えず、迎え来てるから、俺達帰るね?」
「ああ、また明日な?」
ひらっと片手を振って離れて行く南に、俺はちょっと感動した。
南のおかげで母さんに騙されてる事がわかったし、5千円くれたし……良い奴かも?
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