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なんて感動してたら、尊に怒られた。
「いっちゃん、そんなだからおばさんに騙されるんだよ? 南はいっちゃんの持ち物売って儲けた何割かをくれただけであって、非難されるべき人間で、決して感謝される人間じゃないんだよ?」
「たけちゃん……俺、たけちゃんがお母さんでもいいや」
そう言って尊に抱き付き返すと、尊は笑った。
「時々なら、お母さんになってあげる」
「うん、ありがとう」
和美に子供扱いされた時は酷く腹が立ったのに、尊に子供扱いされてる時は、なんだかとっても心地良い。
和美は多分俺の事を馬鹿にしての子供扱いだろうけど、尊は俺を兎に角守ろうとして子供扱いしてた……その気持ちの差なんだろうなぁ。
手を繋ぎながら歩いているうちに、たか兄の車が見えてきた。
あれ、たく兄がいる。
「遅い!」
たく兄に、怒られた。
「どうだった?」
訊きながら車に乗り込むたく兄に習い、俺達も乗り込みながら順を追って報告し始める。
たか兄が車を走らせた。
俺と尊の報告に、たか兄もたく兄も黙って耳を傾けていた。
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