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「それに、いっちゃんのが先に生まれてるから、お兄さんにはなれないよぉ~」
うん、そうだね?
俺、6月生まれ、尊は7月生まれだもんね?
俺のがお兄さんだね?
やっぱり尊は尊だ、何かが足りない……
でもそんな尊が――
「だーい好きだぁー」
ぎゅっと抱き付く俺を、ぎゅっと抱き締める尊。
「俺もいっちゃんが大好き!」
「あー、はいはい、ラブラブなのは結構だが、時間が無いから行くぞ?」
荷物を持って、たか兄はドアを開けた。
俺は一度自分の部屋に戻り、ベッドを整えて、室内を見回す。
あっ、父さんの写真しまい忘れた。
ベッドヘッドに貼ってあった父さんの写真を手にして、部屋を出る。
「お待たせ」
尊とたか兄にそう言って、靴を履く。
元栓閉めた、電気も消した、窓も閉まってる。
忘れ物も無し、大丈夫だな?
よし、OKだ!
たか兄、尊と外に出る。
最後に出た俺は、この家を暫く離れるのに全く未練が無い事に、なんだかなぁ、と思いながらドアを閉めた。
カチャリと鍵を閉め振り返ると、2人が案じる様に見ていた。
「大丈夫だよ?」
俺の言葉に、2人は頷く。
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