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伊織の家に上がった直後、ルノが飛び付いて来た。
出迎えてくれたのは、香織姉と都織、そしてこの問題のルノだった。
パタパタパタパタと、千切れんばかりに尻尾を振って歓迎してくれる。
なのに……皆の視線が離れた隙に、かぷり、と噛み付いて来た!!
「いったぁっ!!」
だがしかし――
叫んだのは、俺じゃない!!
「ルノが噛んだ!!」
噛まれたのは、なんと、尊だった!!
何故に!?
ルノ!!、と叱る香織姉を止めて、まだ尊の足に喰らい付いているルノに、俺は屈み込んで話し掛ける。
「ルノ、俺、こっちだよ? 今噛んでるのは、たけちゃんだよ?」
ルノは、チラチラ俺と尊を見比べ、やがてそろそろと尊の足から離れた。
「はい、お利口さん! 後で貰うんだよ?」
なでなで、俺はルノの頭を撫でながら、俺お手製の 『ルノ・クッキー』 をルノに渡す。
ペロペロ俺の手を舐めると、ルノはクッキーの袋をくわえて、トコトコ立ち去った。
俺に噛み付く以外は、ルノはとても良く躾られていて、かなり利口だ。
今渡したクッキーだって、勝手には食べない。
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