1077人が本棚に入れています
本棚に追加
伊織を少しコンパクトにした感じの都織は、その羨ましい整った顔にちょっと意地の悪い表情を浮かべた。
「和泉はお子ちゃまだから、いっつも甘ったるい匂いがする」
ほっとけ!!
「いっちゃんは、お菓子も手作りするからかしら?」
小首を傾げて、香織姉は言う。
「何にしろ、ルノが尊を噛んだのは、間違えただけだ。 同じ匂いがして、見た目も似てるから、和泉と尊を間違えたのさ」
俺、ルノに匂いだけで判断されてる?……いやいや、見た目も入るから、そんな事は無いだろう……と思いたいよ、ルノ……
「でも、なんでルノはいっちゃんを噛むんだろ?」
尊、それは俺も知りたい。
そう考えていたら、疑問はあっさり解決した。
「それはね、ルノの癇癪(カンシャク)なの」
「癇癪?」
「ルノ、毎日でもいっちゃんに会いたいみたいで、毎日会えてる時は噛まないでしょう?」
うん、香織姉が言う通りだ。
続けて会ってる時は、噛まれてないや。
「日が空くと、会いたかったのに来なかった、と癇癪起こして噛むみたいなのよ」
香織姉の言葉に、俺は目が点になる。
俺、ルノに愛されてたの?
最初のコメントを投稿しよう!