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何だかんだやってたら、問題の人物が、能天気に鼻歌混じりで現れた。
「ヤッホー、皆居るー?」
真っ赤なスーツに真っ赤なハイヒール、何処かで血でも啜って来たんじゃないだろうかと思っちゃう程赤い唇したド派手なマイ・マザーが、遠慮もせずに、ずかずかと上がり込んで来る。
息子の欲目かもしれないけど、高校生の子供がいるとは思えない程若々しい母さんは、ド派手な服装がとっても良く似合う。
特に赤い色は、白い肌と黒い艶髪を浮き立たせ、一番似合う。
ぼんやり突っ立ってる俺に気付き、和美に良く似た顔に笑みが浮かぶ。
「和泉ィ、家出するんだって?」
ニコニコニコニコ、邪気の無い笑顔で母さんは言う。
俺を騙しまくっている人とは思えない程、無邪気な笑顔だ。
我が母は、やっぱり美人だ。
和美共々、俺の自慢の家族だ。
2人共、中身に問題大有りだけど……
「いっずみー?」
何も答えない俺に訝しく思ったのか、俺に何かを頼む時によく使われる母さん独特の呼び方で、俺の名を口にした。
何を、どう言おう……?
悩んでいる俺に母さんは、スイッと右手を伸ばして来た。
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