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「じゃあさぁ、和泉、俺が嫁に貰ってやる」
そうすりゃ、母親から離れられるだろ?――と、黙って様子を伺っていた都織がボケた。
「都織、和美ちゃんは?」
そう、尊が言う様に、都織は和美が好きだった筈。
よくアピールして、和美に殴り倒されていた。
「和美ちゃん、脈無しだから諦めた。 それに、和美ちゃんと結婚しても、幸せな家庭に成らない気がする……」
遠い目をして語る都織に、尊は憐れみの眼差しを向ける。
「あー、わかる。 帰ったらゴミだらけ、ご飯も無いって感じだものねぇ~」
すまん、和美!!
兄ちゃんは、弁護出来ない!!
許してくれ!!
「絶対いっちゃんのが、良いお嫁さんに成るもんねぇ~。 じゃあ、俺は都織のお姑さんだあ~」
うん、間違ってるね、尊?
「馬鹿言わないでよ!? 和泉は私のなの、誰にもやらないわよ!!」
母さんが、苛ついた声で怒鳴った。
「「却下!!」」
おばさんとおじさんが、声を揃えて母さんに返す。
「都織の戯言はこの際どうでも良いが、和泉は家でずっと暮らさせる」
厳しい顔と声で、おじさんは言った。
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