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「私も、それを良しとしますわ」
「母親から子供を奪う気!?」
母さんが必死に言うが、俺保護同盟は揺るがない。
「母親でしたら、母親らしい事をなさい!」
「和泉を好き勝手に扱っておいて、今更母親面か!?」
母さんの綺麗な顔が、泣きそうに歪んでいる。
「私は和泉の保護者よ!?」
「育児放棄してらっしゃって?」
グッと言葉を詰まらせる母さんは、おじさんに抱き上げられたままの俺を、すがる様に見上げた。
駄目だ、ほっとけないや。
「和泉ぃ~」
俺を呼ぶ母さんの声が、初めて耳にする程弱々しい。
「母さん……」
言い掛けた俺の口を、おじさんのデカイ手が塞いだ。
「綾乃、いっちゃんを取り戻したいのなら、母親らしくおなりなさい」
おばさんが溜め息混じりに言うと、おじさんは俺を解放してくれた。
「和泉はタケと、伊織か都織の部屋で待ってるんだよ? これからの事を、ちょっと話し合うからな?」
「俺、抜きで?」
訊けば、おじさんは少し困った顔をした。
「和泉は流されるから、ここは大人だけに一任して欲しい……駄目か?」
駄目とは言えない……
俺は了承するしかなかった。
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