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じゃれあう2人をそのままに、俺はひたすら掃除を続ける。
何だかんだ言ったって、都織は俺達に暴力を振るわない。
意外と優しいんだ。
擽ったり、引っ張ったりする位で、殴ったり叩いたりの暴力はしない。
まあ都織に言わせると、俺達みたいに弱いのを殴ったって、何の得にもならないからだそうだけど。
あっ、尊が笑いしんだ……
「参ったか?」
都織に訊かれ、尊は虫の息で頷く。
「ハイハイ2人共、掃除機かけるから退いた、退いた」
勝手知ったるなんとやらで、勝手に持ち出した掃除機を使って、尊と都織も吸い取ってやる。
えい、やあ、と掃除機向けてやれば、2人はゲラゲラ笑いながら逃げ出す。
騒ぎながら掃除を終えたらタイミング良く(悪く?)、伊織が現れた。
「煩いぞ、ガキ共」
「あー、伊織君も仲間に入りたいですか?」
おどけて訊いた瞬間、伊織の鉄拳が飛んでくる!
だが、わかっていて、やられる訳がない!!
掃除機の先で、伊織の拳を受け止める。
「「おー!」」
尊と都織が、感嘆の声をあげた。
へへへと笑ってやると、伊織は忌々し気に舌打ちし、俺をヒョイっと持ち上げた。
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