五匹目 レッサーパンダは 斗う!?

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「拉致」 ぼそりと呟いて、俺を肩に担いだまま伊織は歩き出した。 「都織、掃除機の片付けは頼んだぞぉー!」 伊織に担がれたまま叫ぶ俺に、掃除機を受け取りながら都織は頷く。 「チョコチップ・クッキーで、引き受けた!」 あれ? 俺、誰の部屋、掃除したんだっけ……? 「都織ぅ~、掃除させときながら、クッキーまでねだるの~?」 とっとこ付いて来ながら、尊が言う。 「だって和泉も尊も、高校入学してからちっとも来なかったじゃないか!」 ああ、淋しかったのか……? が、俺の考えは、甘かった!! 「おちょくる相手が居なくて、暇だったんだよ!」 くーっ!! 勉強しろ、受験生!! 「都織、コーヒー3つ」 伊織の注文に、俺は慌て言い繋ぐ。 「お煎餅も付けてくれたら、クッキー作るよぉー」 「おー! 約束だぞ!?」 言うが早いか、都織は走り去った。 「いっちゃん、コーヒーにお煎餅って、バッド・チョイスだよ~」 「何を言う、たけちゃん!! コーヒーの渋味とお煎餅のしょっぱさは、意外と合うんだぞ」 伊織に担がれたまま俺が言うと、伊織が少し笑った。
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